「最近、物忘れやイライラが増えた…」

そんな日常の変化は、単なる疲れではなく、脳の前頭前野がストレスで弱っているサインかもしれません。

前頭前野は脳の最前部に位置し、計画や判断、感情のコントロール、人間関係での適応など、私たちの生活のあらゆる判断を支える心と行動の司令塔です。

慢性的なストレスはこの司令塔を縮め、働きを弱めることが脳科学研究で明らかになっています。


前頭前野がストレスで萎縮する理由

ストレスを受けると体は「コルチゾール」というホルモンを分泌します。
短期間なら問題ありませんが、長期間続くと脳に以下の影響を与えます。

  • 神経細胞の損傷:過剰な興奮により神経細胞がダメージを受ける
  • 神経のつながり(シナプス)の減少:情報伝達が弱まり、認知機能が低下
  • 脳由来神経栄養因子(BDNF)の減少:神経細胞の成長や修復が妨げられる

その結果、前頭前野の萎縮が進み、判断力や感情制御が低下してしまいます。


前頭前野の萎縮がもたらす影響

前頭前野の機能低下は、私たちの日常生活にさまざまな変化として現れます。

  • 記憶力や集中力の低下
     物忘れが増え、仕事や家事でミスが増える
  • 感情のコントロールが難しくなる
     イライラしやすく、不安や落ち込みが増す
  • 衝動的な行動の増加
     考えずに行動して後悔することが増える

研究でも、うつ病やPTSDの患者さんでは前頭前野の萎縮が確認されており、ストレスと脳の健康には深い関係があることが示されています。


前頭前野を守る生活習慣

幸い、脳は柔軟性が高く、生活習慣を工夫することで前頭前野を守ることが可能です。

  1. 運動を習慣にする
     ウォーキングやノルディックウォーキングなど、股関節への負担が少ない全身運動がおすすめです。
  2. 深呼吸やマインドフルネス
     短時間でも腹式呼吸や瞑想を取り入れることで、ストレスホルモンを抑えられます。
  3. 良質な睡眠を確保する
     7~8時間の深い睡眠が、前頭前野の回復を助けます。
  4. 栄養で神経をサポートする
     青魚のDHA・EPAやナッツ類、ベリーなど抗酸化食品が神経を守ります。
  5. 振動刺激(バイブレーションセラピー)
     神経伝達を活性化し、脳の機能維持に役立つ可能性が報告されています。当院でも適切な振動刺激を用いた施術でサポート可能です。

まとめ

慢性的なストレスは前頭前野を萎縮させ、判断力や感情制御に影響を与えます。
しかし、運動や睡眠、呼吸法、食事、振動刺激など日常でできる工夫で前頭前野の健康を守ることは十分可能です。

ストレス社会を生きる私たちにとって、「脳をいたわる習慣」は最高の自己投資です。