はじめに

股関節の痛みは、必ずしも「股関節そのもの」だけが原因ではありません。

「片側から始まった痛みが次第に反対側にも広がってきた」

こうしたケースでは股関節を取り囲む 神経の働き、特に仙骨(せんこつ)周辺の神経叢が深く関与している可能性があります。


股関節を支配する神経

股関節の感覚や運動を担う神経は腰椎や仙骨から枝分かれして伸びています。代表的なものは以下の通りです。

  • 大腿神経(L2~L4) …股関節の前方を支配
  • 閉鎖神経(L2~L4) …股関節の内側を支配
  • 坐骨神経(L4~S3) …股関節の後方を支配
  • 上殿神経・下殿神経(L4~S2) …股関節周囲の筋肉を支配

これらの神経が股関節の動きや安定性、感覚を支えています。


神経の“ハブ”である仙骨

仙骨の前面には 仙骨神経叢(せんこつしんけいそう) と呼ばれる神経の集まりがあります。
ここで神経が合流・分岐し、左右の股関節や下肢へと走行します。

左右それぞれ独立した神経を持ちながらも、仙骨という共通の基盤から分かれるため、仙骨周辺の不調は両側に影響を及ぼしやすいのです。


股関節痛が左右に広がる理由

仙骨周辺では、神経そのものだけでなく、硬膜や靭帯、深層筋群の緊張が神経にストレスを与えることがあります。

その結果、

  • 片側の股関節痛が時間の経過とともに反対側にも広がる
  • 股関節以外(腰や臀部)にも不快感が出る
    といった症状が現れることがあります。

「関節が悪いから痛い」という単純な理解では説明できないのが、神経と仙骨の関わりなのです。


当院でのアプローチ

当院では、股関節そのものへの施術に加えて、仙骨や腰椎周辺の神経・筋・靭帯の状態を包括的に評価しています。

神経の通り道である仙骨周囲のバランスを整えることで股関節への負担を軽減し、痛みの改善につなげることを目指します。

「股関節が悪いから仕方ない」と諦めてしまう前に、ぜひ一度ご相談ください。


まとめ

  • 股関節を支配する神経の多くは仙骨神経叢から枝分かれている
  • 仙骨周辺の不調は、左右の股関節に広がる痛みの原因となり得る
  • 股関節痛の改善には、関節だけでなく仙骨・神経への包括的アプローチが重要

「片方だけの痛みだったのに、最近は両側に…」という方は仙骨の神経が関与しているサインかもしれません。
股関節だけにとらわれず神経と仙骨に注目することで改善の可能性は広がります。