炎症は修理作業
炎症とは「体の修理作業」です。
ケガや細菌感染があると免疫細胞が集まり、血管が広がり、修復に必要な材料を届けます。
その結果として「赤くなる・腫れる・熱を持つ・痛む」という変化が起こります。
炎症と痛みの仕組み
炎症が起こると「痛み物質(ブラジキニン、プロスタグランジンなど)」が分泌されます。
これが神経を敏感にし、わずかな刺激でも「痛み」として脳に伝えるようになります。
これは「その場所を休ませて回復を助ける」ための自然な仕組みです。
問題は「炎症が長引くこと」
本来なら炎症は数日から数週間で収まります。
ところが生活習慣の乱れ、ストレスなどが重なると炎症が完全に終わらず「慢性炎症」へ移行してしまうことがあります。
病理学的にいうと急性炎症は修復に役立つ「良い炎症」ですが、慢性炎症は組織を少しずつ壊していく「悪い炎症」になり得ます。
その結果として痛みが数か月、時には年単位で続く ― つまり「慢性痛」となるのです。
神経生理学から見た慢性痛
炎症が続くと神経は過敏な状態のままになります。
さらに脊髄や脳でも「痛みを感じやすい回路」が強化され、実際には大きな刺激がなくても痛みを感じてしまいます。
これは感覚の誤作動ともいえる状態で、炎症が治っても痛みだけが残るケースがあるのです。
生活習慣が炎症を左右する
近年の研究では食事・睡眠・ストレスも炎症に影響することが分かっています。
- 加工食品や砂糖の多い食事 → 慢性炎症を促進
- 魚の油(オメガ3)や野菜 → 炎症を抑える
- 睡眠不足や強いストレス → 神経を過敏化させ炎症を長引かせる
つまり「体の修理作業」である炎症は、生活習慣によって味方にも敵にもなるのです。
まとめ
- 炎症は修理作業の一部で、本来は体に必要な反応
- 長引くと神経が過敏になり、慢性痛につながる
- 食事・睡眠・ストレス管理が炎症と痛みを左右する
慢性痛は「治らないもの」ではなく、体の反応を理解し、生活習慣を整えることで改善に向かう可能性があります。