はじめに
股関節は、歩く・立つ・座るといった日常生活のあらゆる動作を支える重要な関節です。
この股関節の働きを支えているのは、骨や筋肉だけではありません。
実は「深部感覚(しんぶかんかく)」と呼ばれる身体のセンサーが大きな役割を果たしています。
深部感覚とは?
深部感覚とは自分の関節や筋肉の位置・動きを目で見なくても正確に感じ取る能力です。
例えば目を閉じた状態でも股関節を曲げたり、足を上げたりできるのは、この感覚があるからです。
この深部感覚は関節の安定や姿勢のバランスを保つうえで欠かせない仕組みです。
深部感覚が弱くなるとどうなる?
深部感覚が低下すると次のような影響が現れます。
- 自分の体の位置や動きを正しく把握できない
- 無意識のうちに不安定な姿勢になる
- 関節や筋肉に余計な負担がかかる
股関節では、この影響が「動きの不安定さ」や「痛みの悪化」につながることがあります。
股関節痛との関係 ― 研究から見えること
変形性股関節症など股関節の疾患では関節そのものの変形だけでなく「深部感覚の低下」も報告されています。
実際に、ある研究では股関節や膝関節に痛みを持つ患者は健康な人に比べて「関節位置覚(関節の位置を正しく感じ取る力)」が有意に低下していることが示されました。
つまり股関節痛は「骨や軟骨の問題」だけでなく、「センサーの機能低下」も関与しているのです。
まとめ
股関節の健康を守るためには骨や筋肉のケアと同じくらい「深部感覚」に注目することが重要です。
見えないセンサーの働きが弱まると、痛みや不安定さを招きやすくなります。
今後は、この深部感覚と「バランス」「神経」「炎症」「脳」との関わりについてもお伝えしていきます。