テレビCMや広告でおなじみのグルコサミンやコンドロイチン。関節の軟骨に良いイメージがあり、股関節や膝の痛みで悩む方からも「飲んだ方がいいですか?」と質問を受けることがあります。
科学的根拠を見てみると
これまで世界中で数多くの研究が行われてきました。その中でも代表的なのが、アメリカで行われたGAIT(Glucosamine/Chondroitin Arthritis Intervention Trial)という大規模臨床試験です。
結果は、「痛みの軽減や軟骨保護に明確な効果は認められなかった」というものでした。さらに複数の研究をまとめたメタアナリシス(統合解析)でも、「プラセボ(偽薬)とほとんど差がない」という結果が多数報告されています。
つまり、科学的に見れば「誰にでも効果がある」とは言えないのが現実です。
そもそも論:本当に効くなら世の中から関節痛は減っているはず
もしグルコサミンやコンドロイチンで関節が劇的に改善するなら、今ごろ関節痛で悩む人はずっと減っているはずです。しかし実際は、変形性関節症などの関節疾患は年々増加しています。これはつまり、「飲むだけで治る」ほど単純な問題ではないということです。
プラセボ効果を味方にする
ただし、ここで注目したいのがプラセボ効果(思い込みの力)です。
「効く」と信じて飲むことで、実際に痛みが軽く感じられる人もいます。
脳が「安心」や「期待」を感じると、鎮痛物質(エンドルフィンなど)が分泌され、痛みの感じ方が変わることが知られています。もし服用するのであれば、「自分に合っている」「飲むと体が軽く感じる」など、ポジティブな意識を持って続けるのがポイントです。
本当に大切なのは「動き」と「代謝」
一方で、グルコサミンを飲むよりも関節を守るために大事なのは“動くこと”です。軟骨は血管が少なく、動かすことで関節液が循環し、栄養が届きます。
つまり、“動くことが最高のサプリメント”なのです。ゆっくりした歩行、股関節まわりのストレッチ、深い呼吸による代謝促進など、日常的な刺激こそが軟骨や筋肉を守る本質的なケアになります。
まとめ
グルコサミン・コンドロイチンの効果は科学的に明確ではなく、プラセボ効果によって痛みが和らぐことはありますが、本当に関節を守るのは「動き」「代謝」「血流」です。サプリを否定する必要はありませんが、「頼る」より「うまく使う」という姿勢が大切です。