抗がん剤治療中に、
「肺に水がたまる(胸水)」
「お腹に水がたまる(腹水)」
といった状態がみられることがあります。
一般的には「炎症の影響」と説明されることが多い現象です。
しかし、この“水がたまる身体”という状態は、実は自己免疫疾患を抱える方の身体にも共通して見られる特徴の一つです。
炎症という共通点
自己免疫疾患においても抗がん剤治療中においても、身体の中では慢性的な炎症が続いています。
炎症が起こると血管は一時的に透過性が高まり、本来は血管内にとどまるはずの水分やタンパク質が外へと漏れ出します。
この反応は身体を守るための正常な仕組みの一部です。
ただし、この状態が長く続くと体内の水分バランスは徐々に崩れていきます。
見落とされやすい「もう一つの要因」
ここで重要になるのが、もう一つの視点です。
それは
「水が漏れている」だけでなく、
「水が戻れなくなっているのではないか」
という考え方です。
回収する流れの低下
私たちの体では動脈によって運ばれた血液が毛細血管で組織に広がり、その後、静脈やリンパによって回収されていきます。
この“回収の流れ”がうまく機能することで体内の水分は一定に保たれています。
しかし、自己免疫疾患や抗がん剤治療の影響下では、
・血管内皮の機能低下
・慢性的な炎症による組織の変化
・筋緊張や可動性の低下
・呼吸の浅さ(横隔膜の制限)
などが重なり、
水分を回収する力そのものが低下していきます。
「炎症+流れの低下」という構造
このように見ていくと、
水がたまるという現象は炎症によって“漏れやすくなった水”が流れの低下によって“戻れなくなっている” という二重の構造で捉えることができます。
自己免疫疾患との共通点
自己免疫疾患の方の身体をみていると、
・むくみやすい
・疲労が抜けにくい
・冷えが強い
・痛みが移動する
といった特徴がみられることがあります。
これらもまた、
単なる炎症だけではなく、体内の流れの滞りと深く関係しています。
身体をどう捉えるか
炎症という視点は非常に重要です。
しかし、それだけでは身体の状態を十分に捉えきれない場合もあります。
むしろ、
流れがどのように滞っているのか
どこで回収がうまくいっていないのか
といった視点を持つことで、
身体の理解はより立体的になります。
最後に
抗がん剤治療中の身体と、自己免疫疾患の身体。
一見すると全く異なるもののように見えますが、その奥には「炎症」と「流れの低下」という共通した構造が存在しています。
この視点は症状を単に抑えるのではなく、身体全体の状態を見ていく上での一つの手がかりになるはずです。