「軟骨がすり減っています」と言われたことはありませんか?
整形外科で診察を受けたときに、
「軟骨がすり減っていますね」
と説明された経験のある方も多いのではないでしょうか。
この表現は日本では一般的に使われていますが、医学的にみると少し正確さに欠ける言い方です。
世界標準の表現は「変性」や「喪失」
海外の医学文献やガイドラインでは、軟骨の状態を表すときに
- degeneration(変性)
- loss(喪失)
といった言葉が用いられています。
つまり「すり減り(摩耗)」というよりも、体の中で起こる変化や喪失として理解されているのです。
軟骨はタイヤのように削れるだけではない
「すり減り」という言葉からは、タイヤや消しゴムが摩耗して削れていくイメージを持つ方も多いと思います。
しかし、関節の軟骨は単純に摩耗するわけではありません。
実際には、次のような生物学的なプロセスが関わっています。
- 炎症反応
- 代謝の異常
- 細胞の働きの低下や変化
つまり軟骨は「削れる」のではなく、変化していくのが本質なのです。
言葉の違いが理解の違いにつながる
「すり減る」という表現に頼ると、関節をまるで消耗品のように感じてしまいます。
けれども実際には、体には修復や再生の力が備わっています。
生活習慣やセルフケア次第で、進行のスピードを緩やかにすることも可能です。
正しく理解することこそが、股関節や膝関節と前向きに付き合っていく第一歩になります。