からだとこころの治療室

アワノネ 代表:大原 敬之

柔道整復師(国家資格)
所属:Fulcrum Osteopathy Study Group

早いものでこの業界に足を踏み入れて20年近くになります。前職は全く違う IT系の仕事でした。それなりに責任のあるポジションを与えられていましたが、心のどこかに迷いのようなものがあったように記憶しています。

私の祖父が医師でした。幼い頃からその姿に憧れ、ずっとその背中を追い続けていました。ずっとというのは誇張し過ぎかも知れませんが祖父が亡くなるまでは自分は跡を継いで医師になるものだと思っていました。人生は予想がつかないものです。尊敬する祖父が亡くなってから音を立てるように生活環境が崩れていきました。

話を戻して 、よくあることかも知れませんが 30代手前で「このままでいいのか・・・」と自問自答していました。そのような時期を経て、ある決断をすることになります。

最初は慎重ですが、ちょっと橋を叩いてみて問題なければ猪突猛進するタイプなのかも知れません。時間やお金、それ以上に学が足りていなかったので医師ではなく学生の頃にお世話になった柔道整復師の免許取得を目指すことを決断します。

柔道整復師は整骨院の先生になる資格です。国家資格ですが3年間真面目に学校に通い、そこそこ勉強していれば資格は取得できてしまいます。問題は資格を取得してからです。

無事に柔道整復師の資格は取得しましたが現場に出ると全くと言っていいほど通用しない訳です。当たり前ですが・・・。通用しない中でも何とか立ち回ることができ整形外科や整骨院で経験を積んでいきました。そして、ある出会いをきっかけに開業することになります。

開業したキッカケは整形外科に勤務していた時にとても良くしてくださった杉田さんという身体の細い高齢の女性でした。股関節痛が主訴で整形外科でリハビリをしていました。当時の私の知識や技術では到底解決できるはずもなく、何とかならないものかと日々試行錯誤していました。

その最中にちょっとしたご縁があり股関節痛を専門としていた同業の方と会うことになります。そして、トントン拍子で現在の場所、吉祥寺のマンションの一室に開業することになります。

開業後に自身の知識や技術など総合的に足りない部分が整形外科や整骨院に勤めている時より、より色濃く感じる機会にぶち当たります。そうした流れの中でオステオパシーと呼ばれるアメリカの医師が創始した医療哲学を学ぶこととなります。

振り返ってみると、この業界に入ってから本当に人に恵まれてきました。オステオパシーを学ぶことで出会った仲間、治療室に足を運んでくださった皆さん、そして家族の支えがあったからこそ、ここまでやってこられたと実感しています。

多くの出会いや支え、そして学びを深める中で、ようやく自分が貢献できることや役割・進む方向性が見えてきたように思います。この業界に足を踏み入れて20年、開業して15年、ようやく僅かではありますが、それを体感できるようになってきました。

これからも学びを深め、挑戦を続けながら、より多くの方のお役に立てるよう精進してまいります。どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。

2025年3月